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「いいからホラ、早く口閉じて」
言われた通りに閉ざした私の顔に、華凛の日本人離れした綺麗な顔が近づく。
染みひとつないマシュマロのように柔らかそうなその肌は一体どうすれば手に入るんだろう。
そんな事を頭の隅で考える私の唇に生暖かいグロスが乗せられていく。
きっと華凛は知らない。
「舞子」
華凛が放つその響きが、どれだけ私を安心させるか。
「あんたさ、絶対赤系の色が似合うよ」
私が華凛に貰った言葉をどれだけ大事にしているか。
私がどれだけ華凛を大切に想っているか。
きっと華凛は、何も知らない。
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