夜もすがら

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「ねぇねぇ華凛!今日の放課後ヒマしてる?」 「あーごめん。今日はバイト入ってんだよね」 「えぇー残念。駅前に新しくできたクレープ屋さん、華凛と行きたかったのにぃ~」 わざとらしいほどにガクリと肩を落とすミサキに華凛は「ごめん。また誘って」と申し訳なさそうな笑みを見せる。 「じゃあ今回は2人で行くしかないか」 当たり前のようにミサキはマユにそう話しを振る。ズキリ、胸の辺りに鈍痛が走る。 マユに話しを振ったミサキも「そうだね、そうしよう」とミサキに返事をするマユも当たり前のようにその瞳に私を映さない。 まるで私なんか居ないような態度を取られる度に本当に“私”という存在が消えてしまったんじゃないかと不安になる。 私すらも気づかない間にこの空間に流れる空気と同化してしまったんじゃないか。 太陽に反射して煌めく、この粒子のように弾けてしまったんじゃないか。 そんな有りもしない事を本気で考えて、怖くなる。 「舞子?」 そんな私をいつも呼び戻してくれるのは華凛の声だった。 「何ぼうっとしてんの。次体育だよ」 華凛の声だけだった。
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