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「はぁっ!?意味分かんないんだけど!」
華凛は強い。
「んなこと聞いてねぇっつの!」
とてもとても強い。
ガンッ、大きな物音が教室中に響き渡った。さっきの怒声で静まり返っていた空間がその大きな音で更に静まり返る。
いつも下品な下ネタを言い合っている男子達も流行りの動画アプリを見て騒いでいる女子達も、この時ばかりは呼吸を噛み殺している。
そして教室の丁度中心に座っている華凛と数学担当の教師の言い合いを静かに横目で見守っている。
さっきの大きな物音はどうやら華凛が自分の机を蹴った音だったらしい。
「以前の授業でノート未提出の者は補講だと伝えていたはずです」
「だから聞いてねーっつってんじゃん」
「あなたが聞いているかいないかは知りません。私は確かに伝えました」
数学を担当しているこの女教師は堅物で有名だ。決して気性が荒い訳ではないが何かと付けてペナルティを課せたがる。みんなそのペナルティが怖くて盾をつく者は居ない。
そう、ただひとり
「何それ。とんだ自己満足。あんた何様?神様にでもなったつもり?」
…華凛を除いて。
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