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「さっきから大人しく聞いていりゃ、随分と大口叩いているじゃねぇーか。」
「使えねぇという事実を言っただけじゃないか。」
「現場でろくに戦えなかったくせに言うことだけは1人前なんだな。」
「あぁ、そうだよ。あの時、海人がオレの言うことに従っていりゃあんなことにはならなかった。」
「なるほど。」
航海は納得すると掴んでいた手を離し、伊吹の所へ行った。
「どうする、清澄。」
「横須賀さん、本当にそれでいいのですか?」
「あぁ。一度分からせた方がいいと思うしな。」
航海が言うと伊吹はしばらく悩んだ。
「分かりました。良いですよ。多分、憐も同じことをやると思うので。」
「分かった。」
航海は頷くと花咲兄弟の方を向いた。
「それならお前らの実力を試すことも兼ねて、次は3人だけで現場に向かえ。」
「!?!?!?」
「俺らはここで様子を見ている。危険と判断した場合のみ現場へ向かう。」
「分かりました。」
3人が頷くと航海は蒼を見た。
「それでいいだろ、神楽。」
「うーん。危ないような気もするけれど……横須賀と伊吹の考えが同じだからそれでいいと思うよ。」
「んじゃ、決定だな。」
航海が言うと蒼達も頷いた。
「……と、言うことで助けてください。」
『おー、そりゃ大変だなー。』
「なんでそんなに他人事なの、雅和……。」
蒼は雅和に電話をすると先程の一部始終を話した。
『あの双子、前にも増して喧嘩してないか?』
「確かに。横須賀にも噛み付いていたし……。」
『横須賀にも噛み付いたのか。』
「うん。横須賀がキレているの久々に見たからね。」
『なるほど。』
「その声、何か分かった声だよね。」
『あぁ。』
雅和は頷くと話を続けた。
『2人は力を過信している。』
「っ!!!!」
『過信しているからこそ現場で喧嘩をした。普通はそんなことないだろ?』
「確かに。雅和の言う通りかもしれない。」
『蒼、2人の動きに気を付けろ。『乖離』だけは起こさせるな。』
「っ!!!!!!可能性があるということ!?!?!?」
『あぁ。このままだと起きる可能性が高い。俺もすぐ憐に報告してくる。』
「分かった。」
蒼は頷くと電話を切り、小さなため息を吐いた。するとタイミングを見計らったように小羽が現れた。
「あーおっ!どうだったー?」
「小羽……。これからクラーケン以上にとんでもないことが起きるのかもしれない……。」
「なにそれ?」
小羽が首を傾げると蒼は「なんでもない」と答えた。
「雅和からの伝言は『これから4人で横浜に向かうからそれまでの間、双子を見ていて。』だって。」
「りょーかい!見張るんだね!」
「あぁ。」
「で、本当は?」
先程までふざけていた小羽の声が急に真面目な声に変わると蒼は苦笑いをした。
「流石、第二覚醒が起きただけのことはあるね。勘が鋭くなって驚いているよ。」
「えへへ。」
「あの双子、『乖離』の可能性アリだって。」
「やっぱりか。」
「気付いていたんだね。」
「うん。あの2人のソウルサークルが以前と違ったような気がしたから相談しようと思ったの。多分、伊吹と横須賀さんも気付いている。」
小羽はそう言うと「どうする?」と聞いた。
「まだ可能性の段階だから止めることはできないと思う。」
「そっか……。」
「雅和の言う通り見守るしかないと思う。あの2人が担当路線をどう思っているのか。」
「難しい問題だねー。」
小羽は自分のソウルサークルを外すと心配そうに見つめていた。
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