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「それで、最近横浜港近海で魔力を感じたんだ。1回だけではなく数回。何度も確認していくうちにこの魔力の正体が『クラーケン』ではないかと思うようになった。」
航海がタブレット端末を操作すると巨大なイカが船を襲うところを描いた絵が現れた。
「この巨大なイカがクラーケン。海を支配する化け物だ。クラーケンは船を襲い人々を食べてしまう恐ろしい存在だ。」
「前世の時に俺が滅ぼしたんだけど、どうやら生き残りがいたらしい。どうやって生き残っていたのかは分からないけどな。」
蒼がため息を吐きながら言うと航海は頷いた。
「確かに。どうして現世に現れたのかは分からない。」
「だけど昨日、俺は確かに感じた。クラーケンの幼体、『リトルクラーケン』の気配を。」
「あぁ。それに幼体と言っても既に6〜7mはある。」
「大人は20m超えが多かったからな……。今の俺らで倒せるのかが不安だけど……。」
「やるしかないだろ、神楽。」
航海が言うと蒼は頷いた。
「なぁなぁ、蒼!クラーケンって食べられるのか?」
「っ!?!?」
雅和が聞くと蒼は驚いた表情をして航海を見た。
「た、食べたことあります?」
「分からない。あんな巨大イカを食べたいと思ったことがないからな……。」
「だよね……。」
蒼と航海が苦笑いをすると雅和は「なるほど」と頷いた。
「それなら食べてみないとだな!」
「はい!?!?」
「大丈夫だって!伊吹もいるんだしさ!」
「えぇ……。」
「そうと決まれば、明日からイカ釣りだ!!」
雅和が元気よく腕を挙げると伊吹が雅和の脇を突っついた。
「うわぉ!何するんだよ、伊吹!!」
「その前にあの双子でしょ。」
「……あ。」
「未だに仲悪いらしいからね。そろそろ公特所属の隊員だという自覚を持ってもらいたいんだけどな……。」
伊吹がため息を吐くと雅和は静かに腕を下ろした。
「確かになー。今まで横浜支部管内で大きな事件は一度も起きなかった。だから仲が悪い理由は、気の緩みかもしれないし。」
「うーん。なんでこんなに関係が悪化しているのかが理解できないんだけど……。」
「確かに。だけど、今回の相手は神話レベルの敵だ。少しの油断が大きな隙となる。」
「だよね。そろそろあの喧嘩に終止符を打ってもらわないと。」
伊吹はそう言うとイカフライを食べた。
「今回は捜査隊の職員として俺が同行することになった。」
「随分と早くに決まったんだね。」
「あぁ。敵が敵だからな。赤坂さんの言う通り少しの油断が大きな隙となる。」
「そうだな。」
「それに海洋神が2人いれば最強だろ?」
「確かに。」
蒼が笑うと航海は憐を見てお辞儀をした。
「京橋さん、よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくお願いします。ただ……皆が言うように、横浜分隊のあの2人が迷惑をかけると思います……。」
「捜査隊第1係東京分隊よりはマシです。」
航海が苦笑いをすると同じく憐も苦笑いをした。
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