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数分後、学生服を来た少年が息を切らしながら部屋に入った。
「兄さん達、大丈夫!?」
「実……。」
海人と桜海が実と呼んだ人物は2人の弟であるグリーンライン担当の花咲実(はなさき みのる)だった。実は2人が縛られているのを見るとため息を吐いた。
「兄さん達、今回は何やらかしたの?本部の人間が来たという報告を聞いて急いで戻ってきたんだよ。」
「えっと………」
2人が反応に困っていると実は伊吹達の方を見た。
「この度は兄がご迷惑をおかけして申し訳ありません。」
実が頭を下げると航海は「頭を上げろ」と言った。
「お前は悪くないだろ。コイツらのために頭を下げる必要はない。」
「横須賀さんがご立腹ということは……。まさか現場で喧嘩したの!?!?」
「あぁ。敵をどう倒すかで意見がすれ違い、喧嘩が始まった。」
「そうなのですね……。」
実はそう言うと悲しい表情をした。
「横須賀、実が来たんだから今回の敵の情報を教えろ!!!!」
「桜海、そんな言い方は無いだろ。」
「なんだよ、海人!!!!本部の人間が来た途端、優等生ぶっているのか?」
「そういう訳ではない!!!!けど、言い方っていうものがあるだろ。」
「あー、そーですかー。ならいいですよーだ。」
桜海が拗ねた声で言うと航海が咳払いをした。
「お前らはクラーケンという名前を聞いたことがあるか?」
花咲兄弟の3人が首を傾げると航海は話を続けた。
「クラーケンは海を支配する巨大なイカの怪物のことだ。ヤツは船を襲い人々を食べてしまう存在でもある。」
「もしかしてクラーケンは神話に出てくる怪物のことですか?」
「あぁ。」
「神話に出てくる怪物がどうして現れたのですか?そもそも神話って空想の話では……」
「違う。」
実の話を遮るように航海は言うと花咲兄弟の3人は驚いた。
「神話は空想の話ではない。はるか昔に起きた実話だ。」
「そしてその神話に出てくる神や天使の一部は鉄道路線と契約(器の共有の儀式)を行い、この時代に転生した。」
「清澄はその当たりも知っているのか。」
「うん。覚えている。」
伊吹が答えると航海は少し驚いた反応をした。
「そうか、清澄は一部を思い出しているのか。」
「あの……」
「どうした、海人。」
「つまり本部の方々と横須賀さんはその神話に出てきた神様と天使だったということですか?」
「そうなる。」
「えぇーーー!?!?!?」
花咲兄弟の3人が同時に驚くと伊吹は「うん、そういう反応だと思ったよ」と納得しながら頷いていた。
「それなら横須賀達が倒せばいいだろ!?!?オレらよりも強いんだから!!!!」
「桜海、俺らの管轄内で起きているんだから俺らで対処しないと。」
「でもクラーケンは神話に出てくるぐらい強い怪物なんだろ?ならオレらじゃ勝てなくね?」
「それはそうだけど……。」
「なぁー、横須賀ー!オレらは今回何もしなくていいんだろ?」
そう桜海が聞くと航海は首を横に振った。
「残念だがそれは無理だ。」
「はぁ!?!?どうしてだよ!!!!!!」
「俺らの力は完全に戻ってないからだ。しかも上からの命令で制限もかかっている。」
「なんだよ、使えねぇーなー。」
桜海が不満な声で言うと航海は桜海の胸元を掴んだ。
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