4. 終焉

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 その人形は目から涙を流しながらハサミを大きく振りかざし私に襲い掛かってきた。ハサミが私の髪を切り取った。空中に髪がひらひらと舞った。自慢の髪を落とされたことはショックだがそれよりも生きていることに安堵した。  動きが予想以上に早かった。目で追うのがやっとのその動きに全く反応が出来なかった。しかも顔を掠ったのか血が滴った。その血に混ざって黒い穢れが中に入り込み血飛沫が舞い上がった。  私は急いで穢れを取り除き回復の呪文で傷を修復した。あのハサミには呪いが掛かっている。少しでも掠れば瞬く間に侵食されるだろう。回復もそう何度も出来るものではない。  人形は再び手形にヌルっと消えていき気配を消した。  脳裏に『フフフ』という笑い声が木霊した。悲しみの念とは別の声。恐らく私の討つべき相手、黒魔女のレイナのものだった。  
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