4. 終焉

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 十字架の持つ聖なる力が悪の権化に侵食する。魔女の腕は焼けただれようやく首を絞める手が緩み何とか抜け出した。激しい痛みに悶えのたうち回る魔女。十字架に宿りし白魔女の加護は黒魔女にとって毒となるようだ。  首を絞められたことで呼吸が荒れていたがゆっくり整え、身を構えた。 そして、今が一撃をお見舞いする絶好のチャンスだ。  私は問答無用で頭上に十字架を突き刺した。断末魔の絶叫が部屋の中に反響した。黒い液体が周りに飛び散った。円を描くように激しく。  私はよろめく足で再び人形の元に戻った。    「ごめんね。そして、さようなら……」    心臓のあたりに十字架を思いっきり突き刺した。ヌルっとする嫌な感触が私を襲った。手を見ると赤い綺麗な鮮血がとめどなく溢れ染めていた。  もう一度、人形の方に目を向けるとそこに人形はいなかった。
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