2. 捻じれた空間

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 私の全身はぐっしょりと湿っていた。恐怖心が生み出した汗がダラダラと滴り落ちていた。私の鎮める対象の強大さに当てられてしまい身体が小刻みに震えていた。だが私は確信した。ここが紛れもない黒魔女の根城であると……かつて殺された私の祖先の仇、無念がここにあるのだと。ここで怖気づいていては祖先に顔向けできない。私は今見た部屋を記憶し、そこに向けて歩むことに決めた。  金網が切断された箇所から足を踏み入れる。すると突如空気が変化し、全身に何かが巻き付くような感覚が襲い掛かった。黒魔女の作り出した異空間に踏み込んだのだと肌で実感をした。  昇降口の前に辿り着き校舎を見上げる。すると先ほど見たであろう部屋が赤く光り輝いていた。まるで誘っているかのように煌々と……3階の一番奥の部屋だと分かった。  昇降口の扉は朽ち果て少し押しただけで後ろに倒れ、盛大な音を立てて窓ガラスが割れ、地表の埃が高らかに舞い上がった。正直驚いたがすんなりと正面から入れたことに安堵した。  手に懐中電灯を持ち中を進んで行く。中からは黴臭い臭いに混じって腐敗臭と血の匂いが漂っていた。
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