2. 捻じれた空間

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 部屋の中は真っ赤に染まり、私の前に何かが飛んできた。肉が爆ぜるような鈍い音が広がりそれを認識した途端、身を悶える悪臭が鼻孔を刺激した。目の前に転がったものをまじまじと見つめて後悔した。その苦悶に満ちた表情は虚空を眺め口元が痛みに悶え歪んでいた。そして、教室内で聞こえる不快な咀嚼(そしゃく)音が教室内を満たしていた。その小柄な身体で人を持ち上げ、 黄色の帯が宙を舞い、鮮血で帯の色が変色していた。  顔は風船のように膨らみ人の頭ほどある歯が血で塗れていた。その歯の前にはあるべき箇所のない制服を着た肉塊があった。この頭の主だろうか…… その大きな異様な頭は私に気づくと不快な息を吹きかけられた。ドブのような刺激臭が目を襲い、鼻がひん曲がりそうになった。胃酸がこみ上げて来るのを必死に耐え、転移魔法を使った。
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