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『しばらく帰れなくなりますので、明日から泊まり込み勤務をお願いできますでしょうか』
そうご連絡をいただいた翌朝。スーツケースを片手にクライアントのお宅へ向かい、玄関のベルを鳴らします。
『はーい!』
「おはようございます、イズミです」
『イズミさんきたー!』
ドアを開けると、二人が並んでお出迎えしてくれました。
「おはようございます、ルナちゃん、リナちゃん」
「おはよーございます!」
「おはようございます」
今日からしばらく三人での生活です。これまで以上に二人といられる時間が増えると思うと、とてもわくわくします。
「朝ご飯はもう食べましたか?」
「うん!」
「お父さんとお母さんから、何か聞いていますか?」
「『いいこにしてるんだよ』っていわれた!」
「そうですか」
この様子だと、ご両親は二人にしばらく帰れないことを伝えていないのかもしれません。とりあえず、私の口からそれをお伝えするのは差し控えておきましょう。
リビングがなんだか広々として見えるのは、私の錯覚でしょうか。
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