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そろそろお昼ですから、お食事を作らないといけません。クライアントからは、冷蔵庫にあるものは全て使っていい、必要なものは必要なだけ買い足してもらって構わない、とことづかっています。とはいえ他人様のお家でそうそう勝手なことはできませんから、とりあえずお昼は簡単なものにしようと思います。
「ルナちゃんの好きな食べ物は何ですか?」
「ハンバーグ!」
「じゃあお夕飯はハンバーグにしましょう!」
「わーい!」
挽き肉は冷蔵庫に入っていませんでしたから、お買い物に行く必要がありますね。
「リナちゃんは?」
「シャケ」
「なるほど……」
好みが違うのは意外でした。確かさっき鮭のフレークがありましたから……。
「それなら、お昼はシャケのお茶漬けにしますね」
「うん」
早速調理に取りかかりましょう。やることは単純です。お米は午前のうちにセットしておきましたから、お湯とおダシ、お茶っ葉を少々、それに海苔と、もちろん鮭フレークを用意して、お茶碗に盛りつけるだけ。
調理中、綺麗なキッチンの隅に飾ってある写真が目に留まりました。ご両親と二人の女の子が、仲良く手を繋ぎながら笑顔で写っている写真。女の子たちは服装も髪型も顔形も同じで、どちらがどちらなのか全く分からないほどよく似た二人です。
「出来ましたよ〜」
両手にお茶碗を持ってリビングに戻ってから、ふと気づいて、取り皿を持ってきてあげました。
「いただきます!」
「召し上がれ」
「いただきます」
美味しそうに食べてくれて何よりです。
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