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そしてとうとう私は出会ってしまった。まるで漫画から出て来たかのようなルックスの彼に。
2.5次元の部長は私にとって毎日を生き抜くための目の保養、心の栄養剤。
部長のプライベートは、この会社の社長息子の執事で毎日バカな息子の世話を焼きながら、昼は会社で陰ながら彼を支えているという設定を勝手に想像し、日々もウハウハを楽しんでいる。
ちなみに社長に息子がいるかも私は知らないのでこれは完全な妄想だ。現実の部長なんて興味はない。2.5次元でい続けていただくのが楽しむ必須条件だ。
そんなことを言っても理解されないし、気持ち悪がられるだろう。だから私は無難な返事をすることにした。
「いいえ。そういう気持ちはありません」
「じゃあ、何で俺を見ているんだ」
「すみません。ご迷惑でしたよね。ただ……」
ただ執事のようにお美しいので、目の潤いの為にと言ったらドン引きされるだろうな。
「ただ?」
「ただ、部長って、いつも完璧だなって。仕事もできて、プライベートもきっと充実していて幸せなんだろうなと、ほら、幸せな人を見ると幸せになるじゃないですか」
我ながら完璧な言い訳。
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