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珍しく笑いながら冗談を言った部長に私は思い切り空気の読めない言葉を発していた。
お酒が入っているとはいえ、私は何を言っているんだろう。冷静になれ私。部長は堂々と遊び人宣言しているんだぞ。佐藤さんもクズだが、部長は大クズじゃないか。
万年彼氏の「か」どころか、男の陰すらない私が、面白そうで入れる領域じゃないぞ。
「す、すみません。冗談ですよ」
部長は疑わしそうに私を見ている。
でも、上司に向かってクズなんで言えないし、かといってこのまま黙っておくと変に思われそうだし……。
「私好きな人いますし、部長とそんな関係持つわけないじゃないですか」
私には大好きな二次元の彼らがいる。二次元でもこんなクズ男はわんさかいる。そして彼らは無条件に主人公を溺愛するという幸せな世界が広がっている。だから私は現実世界でそんなクズ男と関係を持つ必要はない。
「それではお先に」
私は精一杯の笑顔でその場を後にしようとすると、部長の顔が変化した。
あぁ、私の笑顔って怖いんだった。
「すみません。怖いですよね。でも、怒ってないし、呪ってませんからね。では、」
「待て」
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