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部長の横を通り過ぎようとした時、部長は私の腕を掴んだ。
「怖くない。……その、ただ、それを言いたくて。好きな奴と上手くいくといいな」
部長はそっと手を離してくれた。
「ありがとうございます。部長は優しいですね。でも、好きな人と上手くいくことは一生ないです。私は見ているだけで十分です」
「……青山まさか」
もしや、私が二次元に恋しているってバレた?
呪いの市松人形な上に二次元に恋するなんてある意味ホラー中のホラーですか?
私がいるだけで氷点下になりますか? 一緒の空間に居るのも耐えられないですか? そしたらクビですか?
それはそれで困る。
そうだ。現実世界にいることにしちゃえばいい。
「私は片思いが好きなんです。」
「どういう意味だ?」
目をパチパチさせながら部長は言った。
「私は、相手のことを思うだけで十分なんです」
「相手は既婚者なのか?」
「いいえ。独身ですよ」
基本的には。エンディングでは結婚することも多いですがね。なんて心の中で言ってみる。
「じゃあ、両想いになれるじゃないか」
なんでこんなに部長は私に突っかかってくるのだろうか。面倒だな。
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