夢から覚めたはずなのに

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「樹くん、初めて会ったときよりカッコ良くなってる」 またもやミカが突然話題を変えてきた。 「え!?」 「そうね、誰かを守る男の顔してるわ。すっごくカッコいい」 二人顔を合わせてうんうん言うOL達を前にして樹があわあわしてしていると、隣で伊織がくすくす笑っている。 「や、えっと……そ、そうですか、ね?」 こんなふうに照れている樹というのはなかなかに貴重である。 「大切にしてあげてね」 「約束破ったらどうなるか覚えてて!!」 はい、と言いながら樹は首を縦に振った。 「前置きが長くなりましたが、今夜は何をご用意しましょうか?」 「そうねぇ、久しぶりだから何頼んでいいのか迷っちゃうわ。樹くんのオススメで、どう?」 「あたしもそうしようっと!」 少し前まではどんより曇り顔だった二人も、今では笑顔になっている。 樹は少し考えたあと、「それでは」と言いながら順番にシェイカーを振った。
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