夢から覚めたはずなのに

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『樹クンは、さすが女性の心を掴むのが上手いなぁ』 見れば、先ほどのイケメンの隣にもう一人。 金髪のバーテンダーだった。 長い髪を向かって右側にまとめて垂らしていた。 落ち着いており、甘い微笑みにキャラメルボイスが耳をくすぐってきた。 このバーテンダーも相当なイケメンなのだが、ミカとカオリにとっては最初の彼の方がストライクど真ん中だったのだ。 彼の胸には金色のネームバッジ。 ローマ字で「I.Aoshima」と書かれている。 『バーテンダーさん、青島さんていうの?』 『はい、そうです。どうぞお見知りおきを』 そう言って、彼はミカとカオリに向かって再びにっこりと微笑んだ。 そのスマイルにずきゅーんと打ち抜かれたような感覚を覚えていると、ミカが鼻息荒く続けた。 『あの!この金髪の人が「樹クン」って言っていたけど、「青島樹」さんっていうのがフルネームなの?』 『私たちも「樹くん」って呼んでもい~い?』 すかさずカオリがきゃぴきゃぴしながら食いついた。 『え?はい、どうぞお好きに呼んでいただければ』 『や~ん!!樹くぅ~ん!!』 二人のOLから名前で呼ばれ、樹は少し恥ずかしそうに笑っていた。
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