夢から覚めたはずなのに

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今日の合コンでの哀しかった出来事など無かったことだったかのようにすっかり忘れ去られてしまっていた。 『あ、あの!質問してもい~い?』 『はい、何でしょう?』 ミカが頬をほんのりピンク色に染めて話しかけてきた。 酒が回ってきているのかもしれない。 『樹くんは、どういう女性が好みなのぉ?』 突然ミカから尋ねられて樹は一瞬戸惑ったが、そんな素振りを見せないように答えた。 『……そうだなぁ。僕は年上の女性が好きですね。大人っぽい魅力に惹かれるというか』 『と、年上って!?樹くん今おいくつなのぉ!?』 続いてカオリが興奮状態で身を乗り出してきた。 『僕は、二十四です』 『やだーっ!若~い!あたし達、年上よぉ!あ、年齢は聞かないでね!』 嬉しそうにきゃっきゃしているOL達。 このはしゃぎようは、以前からの友達だったかのようであった。 今夜、このバーに来ることになったのはきっと運命だ。 二人はそう思っていた。 合コンで残念なことにならなければ、ここへやって来ることはなかったのだから。 振られたおかげでというのもおかしいが、こんなにイケメンなバーテンダーに出逢うことが出来たのだ。 自分たちを選ばなかった男性なんて大したことないと、既に過去のことになっていた。 店を後にした二人は足取り軽く駅を目指した。
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