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その言葉を目に貼り付けて、私は空知くんをみつめた。
空知くんは、少し警戒しながら笑った。
「……びっくりした。襲われるかと思った」
「おっ、襲うってそんな」
「なんか、心配させちゃったんだね。ごめんね」
空知くんは、ゆっくりと立ち上がった。
「見て、小日向さん」
そう言って、また窓から身を乗り出す。
「こっち来て」
おそるおそる空知くんの背後から窓に近づくと
「こっち」
と言って肩を抱かれ、空知くんの前に移動させられた。何となく空知くんに父性を感じ、恥ずかしくなってしまう。
「見て。ちょっと、見にくいんだけど」
空知くんの視線の先をたどっていくと、その先に、虹がかかっていた。
特大の虹である。建物の屋根が作る地平線の上に、地球規模の魔法陣のように大きな虹がかかっていた。赤から黄色、そして紫までのグラデーション。くっきりと今ここにある奇跡。
「……私、最近見たよ、虹。空知くんと一緒に帰った時、見た」
「え、そうだったっけ」
「空知くんとバイバイしてからね。空知くんの家に、虹がかかってたよ。空知くん、めっちゃ引きいいね。もう二回も虹見れちゃったよ」
「あはは……は? 何それ」
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