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「桐院は、難しいかな。遠いしね、大変だよ」
三者面談で、「一緒に」はあっけなくバツをつけられてしまった。
「あらっ、やだ、そんなとこ書いたの」
親にもダメ出しをくらってしまう。
「……あ。いや、今から、頑張ったらいいかなって」
「……うーん。偏差値って、1上げるだけでだいぶ大変なんだぞ。小日向は確かに頑張ってるけど、今の三倍は頑張らないと」
「そう、ですか」
「お母さんもそんなとこ行きたいなんて、聞いてないんだけど」
「……あの。希望が特になかったので、適当に書いてしまいました」
そう言うと、大人たちの間にほっとした空気が流れた。いらっとした。
どうせ、もう答え出てるんじゃん。そう思った。もう私が行くべきところは決まっちゃってて、あとは私が正解を出すか出さないかなんじゃん。
なに、そんな人生。なにがおもろいの。
私は桐院高校を受験することに決めた。
私は意地になっていた。
夏休みは、昼は学校で自習をし、夜は夏期講習を受けた。受験生向けに、夏休みの教室は自習室として開放されていた。
空知くんも、来ていた。いつもの窓際の席だ。私は、友達につられて少し離れて座る。
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