悪魔とカウボーイ

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銀髪の上で磨き込んだ象牙を思わせる角が、光を歪に反射させる。 その角の捻れさえも恨めしく思え、黒髪以外は何もない自分の頭がさむざむとしたものに見えた。 「今回の依頼を成功させれば君にも立派な角が生えてくるだろう」 見透かされ、亜理子は頬を赤くした。 「君にはまだ機会がある。それもたいして難しくはない。だが、もし失敗すれば」 「悪魔廃業ですか?」 「その言葉は正しくないな。我々は契約は守る。君が失敗した後すぐに後任を送り込んだように、な。我々は決して悪意そのものの存在ではない」 きまじめなオーウィスに人界で使われている『悪魔』という言葉を用いたのはまずかったようだ。 だが亜理子としてはそれ以外、どんなふうに呼べばいいのか見当がつかなかった。 亜理子の困惑を感じたのか、オーウィスは表情を和らげた。
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