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結局あの後眠れずにベッドの上をゴロゴロしただけで昇った太陽に呪詛を吐きながら学校へと向かう。
混み合う通学路に、せわしなく動く社会人。車は自分を置いて通り過ぎ、あたりには人の声と機械音が充満している。当たり前に月は降り、太陽がじりじりと肌を焼く。
あの深夜の自分がまるで存在しなかったかのように動く世界に舌打ちを鳴らした。
その直後、ズシン!と背中に重力がかかる。
「っぐ…!」
「あーさひ!って、クマすごいぞ?」
「お、まえ…いちいち飛びつくな」
えー、とむくれながら早々に降りて隣を歩く友人を睨みつける。が、いつも通り相手には全く響いてない。諦めてため息をついた。
「じゃなくて!眠れなかったのか?」
「2時間寝た」
「それは寝たって言いませんー」
「うるせぇ」
「あだっ!?」
ぶつくさ言う友人の頭を容赦なく叩く。
「いってー!叩かなくてもいいだろ!」
「その頭もっかい叩いてやろうか」
「うえ、勘弁勘弁」
叩かれた頭をさすりながら友人はまた話しかける。
「珍しいよなーお前がクマこさえるなんて。夢見でも悪かったか?」
「俺は悪夢なんて一回も見たことないけどな」
友人を置き去りにして校門へ急ぐ。
「ちょ、待てって旭!あさひー!」なんて声には無視を決めた。
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