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授業中、さして面白くもない公民のハゲ野郎の自慢話をスルーして窓から見える空を眺める。窓側の席は暇なときに外が見れるから、意外と好きだ。
あいつ、優斗は今朝見た感じ自分が眠れていなかったことをなんか重そうに考えていたが、別にそんなことは全くと言っていいほどにない。
ただ、眠れなかった。それだけなのだ。
自分の顔は言うのもなんだがかなりの仏頂面だ。優斗に「常時キレてる不良」と言われるくらいの不愛想であることは自覚している。
それに伴って荒唐無稽なうわさ話があちこちで飛び回っているのが難点だ。
そのほとんどが優斗によって誤解は解けている。それでも間に合わず結構な数のうわさ話があるのだが。
まぁ、自分のメンタルはまあまあ強いのであまり気にしたことはない。どうでもいいとも思っている。
どうでもいいと思っていても、傷は溜まっていくもので。
許容量を超えてあふれることがたまに起きる。
そのとき、俺は眠れなくなるのだ。
と言ってもそうなるのは二日ほど。昨日一回起きたから今日か明日で終わるだろう。
別に優斗は俺と小さいころから一緒にいるからそうなっても問題ないと分かっているのに時折心配してくる。
そんなことを考えながらぼーっと空を眺めていたら、いつの間にか授業が終わったようだ。
チャイムの音を聞いて立ち上がる。
あんなハゲ野郎でも考える時間をくれたのはありがたい。
礼、という言葉に習いお辞儀をする。
心の中で一応感謝しておいた。口には出してやらない。
調子に乗って面倒くさくなるから。
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