Navi

漆

神崎は病院にたどり着いた。
「すみません！神崎、神崎美桜は？あぁ、そうか…光来の病室は？」
その場に居た裏口のスタッフに神崎は声をかける。するとスタッフは面倒くさそうに、入口のモニターを指さした。

「？」
『こんにちは、受付のミライです。』
「…！」
『とうぞ、ご要件を行ってください。
・緊急性の患者がいる　
・緊急性が低いが診察をして欲しい。
・体調などの急変があった。
・院内の人間と面会などがしたい
・その他。』
「くそ！」
神崎ほ面会の画面をタップ。
『…………
申し訳ございません。面会は22時までとなっております。只今のお時間から6時間41分後にまた来てください。』
「中に入れろって言っているんだ！ここを開けてくれ！」
神崎は声を上げる。しかしスタッフは対応すること無く、タブレットの未来が回答を。

『大きな声は他の患者様の迷惑になります。面会時間までお待ち下さい。』
「…。」
神崎の怒りが頭に。深く息を吐いて一度外へ。
「…くそっ、これじゃ…まともに取り合ってすら…。」
怒りを鎮めるためにこぼした愚痴は地面に。

その時に神崎は言われもない感覚が。長年の勘か？それとも神のお告げか？ふと顔を上げたその瞬間に視界の恥に車のヘッドライトを捉えた。

出てきた扉にもたれ倒れる様に避けると目の前に鉄の塊が突っ込んで、病院の壁に激突した。

「ぐおっ！」
凄まじい轟音と、ひしゃげる扉とともに病院に頭を抱えて転がる神崎。コンクリートにガラスの欠片が周囲に降り注ぐ。すぐ横で軽自動車が病院の壁に突っ込んで、ボンネットが空いた状態で煙を上げている。

神崎は身体を起こす。
「…なんだ？…なんで車が…突っ込んきた？」
神崎はゆっくりと車を確認する。社内は無人のようだ。そして受付の奥にいるスタッフはこんな状況でも眉一つ動かさず、ただ、ただ、座っていた。