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『百済義』は人の命を奪ったんだと男性が主張すると、世論は更に盛り上がった。調べが進みAI『百済義』は最初こそ組織的な犯罪に対応していたが今やただの軽犯罪のみを摘発する装置に成り下がっていると。
そんな世論が広がり更には『百済義』に捕まらない為のAIなんという言葉が売り文句になるほどに。
『イーグル・アイ』『ヴァルキリア』『タオタオ』…。
次々とAIが導入されて優れたAIを使っている方が優位になるという時代に。AIが劣れば捕まるし、罪なども簡単に重くされ、逆にAIが優れれば弁明も、そもそも捕まらないことも。
それは警察に限らずだ。
商談で優位な情報を出したり、矛盾点を素早く示したり…。まさにAIがなくてはならない時代に。
そんな中、光来は使っているのはまだ『Navi』だ。今日も美桜と学校に残りながら『Navi』を活用しながら課題を進めていた。
「『Navi』!」
『なんですか?』
「蟻酸の化学式を教えて。」
『リラックスしてますね。よく覚えれると思います。CH2O2です。』
光来は『Navi』に従いながら課題を進めていく。
「ねぇ、光来。」
「なにさ?」
「なんで光来はまだ『Navi』を使ってるの?」
「え?便利だからだよ。聞いたら答えてくれるじゃん。」
「まぁ、そうなんだけど。」
美桜は少し首を捻ってスマホを見る。その画面には光来と同じく『Navi』のアプリが。
「この間、クラスの御岳山が『イーグル・アイ』を使って一気に答えを出してたの!」
「『イーグル・アイ』はね。そうだろうね。」
「光来は少しAI詳しいから、その光来が使わない理由を聞いてみたいのよ。」
美桜の質問に光来は止まってまばたきを1.2回。そしてさらにもう4.5回。
「聞いてる?」
「驚いている。美桜ってAI嫌いじゃなかった?」
「嫌いよ!何でもかんでも楽に機械に頼って。」
「そう?」
「でも、光来は『Navi』が好きなんでしょ?」
「うん、俺は『Navi』が一番便利だと思うから。」
光来は話しだした。
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