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「弊社のAIシステムは皆さんに寄り添うのを目的としてます。アメリカ大統領が使用していただいたことは大変光栄です。」
「しかし、よく暴走や反逆の心配がされていますがいかがでしょうか?」
「それはAIの理解が不十分なだけだと私は思います。パソコンなどが生まれたときも、携帯が浸透するときも同じような話が出ていました。」
「…しかし…自動の応答をするシステムがSNS上に不適切な発言をしていたというのもありますが…いかがでしょうか?」
「それはアルゴリズムと学習する対象が不適切だったということです。」
瀬戸はじっと記者達を睨むように見る。
「しかし、AIが私達よりも賢くなったりとかはありませんか?」
「…お言葉ですが、あなた方は現在私達はパソコンやAIよりも賢いと考えていらっしゃるということでしょうか?」
「…そうじゃないでしょうか?」
すると瀬戸は明らかに呆れていた。
「…では質問します。
民主党が政権を取った年はいつですか?
7代前のフランス大統領は?
四色問題と呼ばれる数学の証明方法は?」
瀬戸の質問に記者は黙る。
「…賢いという表現には色々あると思います。私の質問とあなた方の質問の賢いには相違があると考えます。
我々は既に我々よりも優秀なツールを持っています。
自分たちよりも速く動ける機械。
自分たちよりも確実に記録を残す機械。
自分たちよりも膨大な情報を処理する機械。
我々は既にそういった機械を使用し生活しています。
優れているという点では既に我々よりも賢いというものは既に数多あります。
ではAIはどういう表現をするのが適切か?
それは
自分たちよりも合理的な判断を下す機械。
そういう表現が正しいかと。」
「それは我々の頭脳よりも優れているというのでは?」
記者の質問に瀬戸は頷いた。
「もちろん合理的で、より優れています。
ここからが問題です。
AIの持つ合理性、つまりその判断の元となる、道理、道標、論理は何かというものです。」
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