6/8
前へ
/72ページ
次へ
「え!?…衰退?」 司会が聞き直すと瀬戸はムセ払いをして続けた。 「このまま何もしなければの場合です。『Navi』とて完璧ではないし、今の時代に何か一つにしがみつくのは賢くない。『Navi』は『Navi』として、また新たなシステムやテクノロジーの発展に貢献できたらと思います。」 瀬戸はそう言い深く頭を下げるとまた記事達は各々記録をした。 そんな様子もリアルタイムで様々な媒体で発信される。 ここ大山高校の生徒まで届いていた。 タブレットを食い入るように見ているのが高岸 光来(たかぎし こうき)。 「あぁ~やっぱりこれからの時代はAIだよなー。メタバースに暗号資産。これからがデジタルな世界が広がるぞー!」  タブレットを持ってくるくる回っていると、その後ろから声が。  「こら!光来!!」 「げぇ、美桜(みお)。」 直ぐに光来はタブレットを背中に隠した。光来の顔の下からショート髪を揺らして顔を近づける美桜。 「あんた、またそんなものを見て!」 「いやいや、少しくらいいいだろ?」 「いいわけないじゃない!あんた赤点補習でここに居るのに!ってか指導役の私の身にもなりなさいよ!」 「いやー、ごめんって。」 美桜は謝る光来の横を通り机の上にあるワークを確認すると空白が半分以上。それを見てため息だ。 「もぅ!漢字くらい覚えたら?」 「えぇー、要らないよ。今は予測変換で出るし調べれば良いし。」 「そんなことを言うから私の名前すら間違って書くのよ!」 「あれれー?そうか!?」 「ほら!ワークを続きしない!」  「ふへー。」 光来は美桜に背中を叩かれてワークに向かう。
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加