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大学生になってから4ヶ月、夜カフェであるここでアルバイトをし出してからは2ヶ月が経った。 ここをバイト先に選んだ理由は、大学の友達と来店した時にオシャレな店内と愛想のいい店員さんに惹かれたからだった。 あと、トイレに貼られていた求人募集の紙に書かれていた“賄いアリ”の文字。あれに一番惹かれてしまったかもしれない。 卑しい話かもしれないけれど、少しでも食費が浮くのは学生には喜ばしい事だ。 「初音(はつね)ちゃん、この前 迎えに来てたのって彼氏?」 突然降ってきた声にお盆を拭いていた手を止めて顔を上げれば、初めてこの店に来た時に“愛想のいい店員さんだな”という印象を与えてきた女の人、ミクさんがニヤりとした笑みを携えて此方を見ていた。 お盆を拭く作業を再び続けながらミクさんの問いかけに「…まあ、そうですね。一応」と静かに肯定を口にすればミクさんは「やっだ、まじで!?」と何故か興奮気味に声を荒げた。 おまけにがしりと肩まで掴まれてしまって、目を白黒させてしまう。
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