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 そんな幸せな日々永遠に続くと思ってたけど、ある日突如として僕らの未来に影がかかった。  その日は目覚まし時計が鳴り止まずにいた。僕は耳が敏感だから普段は鳴り止んでから起こしに行くのだけど、あまりにずっと鳴ったままだからリナに一大事があったかのではと慌ててベッドに飛び乗った。顔を枕に伏せていたから様子がわからず肩に手を置く。ひとまず息はしてる。 「リナ、仕事行かなくていいの? 大丈夫? 調子悪い?」  声をかけても反応はない。  分厚いカーテンが外からの光を遮断していたが、今日は晴れていたはずだ。カーテンを開けようと窓側に移ると、リナが白い腕で僕を遮った。 「仕事、行きたくない……」  リナの搾り出された声に、僕は何が起きたか悟った。  励まそうと声をかけても、リナの返事はない。しんどい彼女を励ますくらいしか僕にできることはないのに、何も役に立たない。  ベッドの端に座って、僕は置物のようにただ彼女の近くにいるだけだった。
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