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先輩
僕は高校2年の葛木勇人。今、絶賛片思い中の相手がいる。
僕の好きな人は僕のことを視界にもいれないような人だ。
僕は毎日通るコンビニからその人を見つめる。
その人は僕の学校の三年生で、先輩だ。そして、その先輩にも好きな相手がいる。それを僕は知ってる。
相手は先輩の幼馴染みだ。
僕は先輩を、帰りと行きのコンビニでしか見ない。学校では会うこともないからだ。
幼馴染みを見る時の瞳、赤く染まる頬、上がる口角、慌ただしく動く表情と手。全部全部、可愛くてしかながない。
だけど、僕は見るだけだ。なぜなら、彼はもうこの世にいないからだ。
僕は幽霊が見える。そして、幼馴染みの人は見えない。
先輩は分かっていても話しかける。まるで、そばにいられるだけでいいのだと言っているみたいに。
きっと二人は付き合っていなかった。だけれど、お互いが大切だったのだろう。幼馴染みは先輩が居なくなってから笑わない。
僕は先輩がいる頃から、二人を見てる。
あぁ、そこに先輩はいるんですよ。気づいてくださいよ。
僕が教えてあげれば済む話なのだろうが、信じてもらえないだろう。
それに、話してしまえば先輩は成仏していなくなるかもしれない。それが、いいことなのか僕には分からなかった。先輩は、あの人の側にいたいと思った。
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