1.人形と探偵とコスプレイヤー

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 家に帰ると夕飯はもう用意されていた 「ただいま」 「お帰りなさい」  ご飯できてるわよと、母は笑顔で迎える 「お帰り真希。おや今日は琥珀君も一緒かい」 「うん。今日は預かる約束だったから」 「そうか。2人ともお疲れ様」 (琥珀、なんだか嬉しそう) 「さぁ、手を洗ってらっしゃい。冷めないうちに食べましょ」 「はーい」  部屋に荷物と琥珀を置いて戻り皆で食卓を囲む  他愛ない話から始まり近況も話す  真希は今日の彩の様子についても2人に話した  父も母も彩を気に掛けているようだった  そして父は真希に無理はしないでと声をかけた  真希もそれに頷き、分かったと返事をする  夕食の後は、風呂を済ませ部屋へと戻る 「おかえり」  琥珀は真希の机の隅にちょこんと座っていた 「まったく。呑気だね」  真希が椅子に座ると、琥珀は置いてあったノートパソコンを指す 「それより、早くそれ開いてよ」 「パソコン? なにするの?」 「これ」  琥珀の両手にはmicroSDと書かれている物があった 「は? これ」 「彩の部屋のカメラから取って来た」 「ちょっと! 勝手になにしてんのよ」 「お前が取らないから代わりに取ったんだ。カメラの存在忘れてただろ」 「うぅ……」 「図星か?」 「うるさい。それに、別に忘れてたわけじゃないから」  プクっと真希は頬を膨らませる (まぁ、せっかく取ってくれたんだし確認してみるか)  ノートパソコンを開きマウスを取り出す  電源がオンになったのを確認しSDカードを挿入する  読み込み終了するまでしばらく待機する  約5分後読み込みが完了する 「あった。これかな」  カーソルをファイルに持っていきクリックする  しばらくすると映像が始まる 「これで録画出来てるよね……」  カメラを覗き込む彩が映る  時刻は22時30分  寝巻き姿の彼女はこれから寝るようだ 「よし」  カメへと向かう  消灯と同時に暗視モードに切り替わる (良かった。ちゃんと撮れてる) 「寝たようだな」 「うん」  画面から目を離さないようにする2人  しかし何も起こらない 「この時間帯は何もなさそうだ」 「少し飛ばしてみる?」 「そうだな。何時間も見ていられるわけじゃないし」 「分かった。じゃあ」  カーソルを使い 数分単位の早送りを繰り返す (まだ変化はないか……)  しばらくは、彩が寝返りを打っただけだった  真希は早送りを繰り返した
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