1.人形と探偵とコスプレイヤー

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「……」  耳からイヤホンを外す  真希は、しばらく絶句していた 「なに……これ……」  じわじわと鳥肌が立つ 「気持ち……悪い……」  レコーダーを見つめ小さく呟く (このままだと、彩がまともに外歩けなくなる)  呆気にとられていると、コンコンと誰かがドアをノックする 「真希、そろそろご飯……」  ドアを開けそう呼ぶのは父だった 「お父さん……」 「どうしたんだい?」  中に入り真希が座っている机に近づく 「えっと……ね……」  口籠る真希を父は不思議そうに見つめる 「父さんに話してごらん」 「……うん。これ、なんだけどね……」  真希は手に持っていたレコーダーを見せる。 「ん? ボイスレコーダー?」 「うん」  マンションに入るまでの様子を録音していた事を話し、もう一度再生する。  その間、父は険しい表情を見せる。  音が止まったところでイヤホンを外す。 「なるほどね……」  何か考え込むように呟く 「周りに不審な人とかは居たかい?」 「ううん。それどころか足音聞こえた辺りは、私達以外誰も居なかったよ」 「気配も?」 「うん。私は感じなかった」 「そうか……。これは、ちょっと厄介かもね」  真希にレコーダーを返しそう呟く 「厄介……?」 「うん。彼女の話を聞いて思っていたけど…そのストーカーは人間ではない可能性がある」 「要するに、幽霊とか…。そういうこと?」  うん。と父は頷く 「彼女の話を聞いた時から、薄々感じていたよ。生憎、それ系に関しては僕は専門外だし、真希の方が解決してきたでしょ」 「だから、私に任せるって言ったんだ……」 「そうだよ。でも無理はするんじゃないぞ。危険を感じたら一緒に逃げるなり助けを求めるなりしなさい」 「はーい。分かってるよ」 「さぁ。早く来ないと、ご飯が冷めてしまうよ」 「うん。今行くよ」  待ってるよと言い父は真希の部屋を出た (まぁ、焦らずやろう。そうだ、後で彩にメールして様子を聞こう) 「よし、ご飯だ。今夜は私の好きなオムライス!」  終わらせていた学校の課題をしまうと、真希はそのまま部屋を後にした
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