1.人形と探偵とコスプレイヤー

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「えっ? 休み?」 「うん。体調が悪いみたい」 (何かあったのかな……) 「そう……なんだ。ありがとう」 「何か用事?」 「うん。話したい事があったんだけど、大丈夫。ありがとうね」  移動教室のためその場を離れようとした時、また別の女子生徒が近づいてくる 「ねぇ。貴方、3組の立花さんだよね」 「うん、そうだけど。私のこと知ってるの」 「ちょっとした有名人だからね。宝玉探偵事務所の子だって」 「あ……はは……」 (有名人なんだ……私)  目立つことを好まない真希は、少し気恥ずかしくなる 「ねぇ。良かったら後で話さない? 弁当食べた後ででも」 「いいよ。じゃあお昼休みでいい?」 「うん。大丈夫だよ」 「分かった。その頃また来るね。じゃあ、移動教室だから行くね」 「うん。またね」  教室を出ると、目的地まで走って向かった  科学。真希が苦手とする実験の授業だった  その次は歴史。話が長く眠くなりそうだ  そして、2クラス合同での体育  運動神経が悪い真希にとっては、地獄のような授業  今回は、体力テストだった  数学。真希の1番得意な教科  そして午前の授業終わりのチャイムが鳴る (やっと終わった……長かった……)  苦手な教科が多かったからかそう感じていた 「さて、1組の2人に会いに行く約束だっけ」  弁当を持って外へと向かう  朝、話しかけて来た2人はいつも噴水前のベンチで弁当を食べているらしい 「おっ、来たね」 「いらっしゃい」  1人分スペースを空けてもらいそこに座る 「えっと……。迷惑じゃない?」 「なーに言ってんの。大歓迎だよ」 「そうそう。呼んだの私達なんだから」 「ありがとう」  弁当を広げ、食べながら話をする  茶髪でショートヘヤーの未菜(みな)と背中まである髪をポニーテールにした梨沙(りさ)  2人は彩の友人らしい 「えっと、なんて呼べばいいかな」 「普通に、真希でいいよ!」 「分かった。じゃあ私は梨沙でいいよ」 「私は未菜。真希ちゃんでいいかな?」 「うん。いいよ」  よろしくとお互いに言い合う 「いや、まさか真希と話す機会が来るとはね」 「梨沙ちゃん。1回会って話してみたいって言ってたもんね」 「そうなの?」 (平凡で何の取り柄もない私なのに) 「そうだよ!」  そう言い弁当の手を止め真希の手を握る
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