1.人形と探偵とコスプレイヤー

14/51

41人が本棚に入れています
本棚に追加
/77ページ
 話をまとめると、彩の様子が変わったのは3週間くらい前  ちょうどストーカー被害が始まった頃だった  明るく活発的な彼女が、常に何かに怯えているように見え挙動不審な行動も目立つようになったらしい  彩は人と関わるのを避け始め、友人の誘いも何かと理由をつけ断るようになった  これは、周りを巻き込まないように彼女なりの配慮だったのだろう  真希はそう推測した  そして授業中、上の空の時があり  ただ窓の外を見つめ、声を掛けても反応は薄い  やがて普段はしない居眠りをするようになった  起こしても、なかなか起きない事もあったという  宛てもなく廊下を彷徨っていたことも  相談にのるよと言っても、大丈夫。なんともない。の一点張り 「そう……だったんだね」 「そう。だから凄く心配で」 (相当、疲れがたまってるのかな。でも……)  真希は何か引っ掛かった  こんなにも変化がある  疲れによるものにしても、多すぎる  本当に疲れだけなのだろうか  何か異変が起こってる?  真希の中で思考がグルグルと巡る 「なんか、彩の話ばかりになっちゃったね」 「そうだね。ごめんね、真希ちゃん。暗い話しかなくて」 「ううん。聞きたいって言ったのは私だし、むしろ話してくれてありがたいよ」  ありがとうと2人に礼を言う (帰ったら、様子を見に行こう)  それからは、2人から色々質問攻めされ  他愛もない話をしたところで午後の授業の予鈴が鳴る  お近づきの印として連絡先を交換し、また一緒に話をする事を約束して今日は別れた (彩の友達、いい人達だなぁ)  そう思いつつ午後の授業をゆるりと受ける  音楽に美術とそれなりに得意な授業だった  そして放課後  普段なら部活へと向かうが、真希が所属する新聞部は部室の点検のため休みとなっていた (さて、帰ろう。午後の授業は楽だったなぁ) 徒歩で家に向かい、鞄を置いて着替えたら事務所へと出かける 事務所に入ると琥珀が出迎える 「おかえり」 「あれ? 琥珀もう来てたの? お父さんは……捜査か……」 (いつもまだ来てないのに) 「人の少ない時間に抜け出したんだ。真希も今日は早いな」 「部活が休みになったから」 「なるほど。で? 出かけるのか?」 「うん。お父さんが帰って来たら、彩の所に行こうと思って」  学校で彩の友達と話した内容を琥珀に話す 「なるほどな」 「琥珀はどう思う?」  うーん。と考え込む琥珀 「話を聞いただけじゃ、なんとも言えないな」 「そうなんだよね……」 「取り敢えず、彩のマンションに俺も付いて行くよ」
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加