1.人形と探偵とコスプレイヤー

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「えっ? また?」 「だって、真希1人じゃ手詰まりだろ」 「うわ、酷い言い草。言っとくけど、琥珀が来る前はまえは私1人で解決させて来たんだからね!」  はいはいとあしらう琥珀 「とにかく、俺も行く」 「もう、分かったわよ。お父さんが帰って来たら出発するからね」 (これだから人形探偵なんて呼ばれるんだよね……)  数分後、父が事務所に帰ってくる  真希は父に状況を説明する 「行くのかい?」 「うん。様子が気になるから」 「行ってらっしゃい。あまり遅くならないように帰って来るんだよ」 「ありがとう。夕食前には帰るよ 」 「うん、そして。琥珀君も一緒かい?」  そう言い父は琥珀の頭を撫でる 「真希と彩さんを頼んだよ」 (もう……お父さんってば……) 「じゃあ、行ってきます」  琥珀をケースに入れ、彩の居るマンションへと向かった  例の路地に入り真希は細心の注意を払う  また昨日のようなことがあるかも  そう思いレコーダーの電源をオンにし  時々、振り向きながらゆっくりと歩く (足音……今は聞こえない……)  昨日と同じルートを通り、時間をかけてマンションに着く 「えっと、503だっけ」  玄関に入り503号室の呼び出しボタンを押す  30秒ほどチャイムが鳴った後反応があった 「はい」  そう返事をした声は、間違いなく彩の声だった 「あっ、私。立花真希だけど」 「えっ? ま、真希?」  どうやら、焦っている様子だった 「と、取り敢えず上がって来て」 「わ、分かった」  ピピッと音がし、自動ドアが開く  ロビーに入り、エレベーターで5階に上がる (彩、慌ててる?どうしたのかな……)  あっという間に5階に着き、右側の503へと向かう  ノックをすると、彩が部屋の扉を開けた 「どうしたの?」 (どうしたのって私が聞きたいよ) 「あ、えーと。今日、学校休んだって聞いたから。何かあったのかなと思って、様子を見に」 「そう、だったんだ。入って」 「う、うん」 (なんか、元気がない?)  彩の様子に違和感を覚えつつ中に入る  リビングに来たところで琥珀を出す 「はい、これ。梨沙と未菜って子からプリント預かって来た」 「あ、ありがとう。真希、2人に会ってたんだね」 「うん、話したのお昼休みと放課後のちょっとだけなんだけどね」 「そっか」  彩をただ見つめていた琥珀が動き出す 「なぁ。何かあった? 元気ないように見えるが」  琥珀の言葉に驚きつつ、彩は答えた 「うん……実は……」 「どうしたの?」 「えっと……。見てもらった方が早いかな」  そう言い彩は自分の部屋の扉へと向かった
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