1.人形と探偵とコスプレイヤー

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「実は……こう言う事なんだけど……」  ゆっくりと扉が開かれる 「えっ?」  部屋の中は足のやり場がない程、物が散らばり悲惨な状態だった 「これは……」 「酷いでしょ」 「何があったんだ」  琥珀がそう問いかけるも、彩もよく分かっていないようだった  朝起きたら、この状態だったらしい  それどころか、もっと散らかっていたのだとか (学校休んだ理由はこれだったんだ……) 「これでも、結構片付けたんだけどね。こんな事が起こったの初めてだよ」  タンスや棚の上の物は倒れ  衣類や本、小物など全て床に落ちていたようだ 「家具まで倒れなくてよかったな」 「怪我はしてない?」 「うん。なんともないよ」  そう言い、彩は真希に手足を動かして見せる  痛みもなく動かせているようだ  ただ、彩本人は今も少し混乱しているように見えた 「大丈夫そうだな。良かった」 「うん。2人とも来てくれてありがとう」 「いえいえ、急に来て迷惑かなって思ってたんだけど…」 「ううん。ちょっと心細かったし、むしろ来てくれて嬉しいよ」 「そう? なら良かった」  真希は、散らばった部屋を見つめる 「酷いでしょ? 後でまた片付けしなくちゃ……」 「私も手伝うよ」 「えっ? いいの?」 「うん。せっかく来たんだし手伝うよ」 「……ありがとう。じゃあ、少し休んだらやろうかな」  貰ったおやつを食べ終え、しばらくして部屋へと向かう  真希は改めて部屋を見つめる (本当に散らかってるなぁ。朝はもっとだったんだよね)  何か手がかりがあるかもしれない  そう思い、真希は慎重に片付ける  琥珀もアクセサリー等をケースに仕舞っていく  そして、真希が気になっていたことを訪ねる 「えっ? 変わったこと?」 「うん。なんかだるいとか……。疲れやすいとか……」 「うーん……」  そう言えば……と彩は話を続ける 「たまに、体が重いなって感じる時があるかな」 「体が重い?」 「うん。ほんの少しなんだけどね」 「どんな時に?」  うーん……と右手を頬に当てる彩 「寝起き……とか? あと放課後……?」  どうやらよく分からないようだ  気がつけば重いような気がする程度  すぐに治まる時があれば朝まで続く時があるらしい 「まぁ、何時もより重いかなってぐらいだし……気にしてなかったんだけど」 「様子を見た方がいいな。悪化する可能性もあるから」 「う、うん。そうだね」
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