1.人形と探偵とコスプレイヤー

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 カメラの時刻が0時過ぎた頃  カサッという物音がした 「えっ?」 「どうした?」 「今、物音が……」 (気のせい……かな……?) 「真希、あれ見て」 「なに……? え……?」  琥珀は彩が寝ているベッドを指差す  寝ていた彩が苦しそうに(うごめ)く 「ひっ!」  そして起き上がりベッドに座った  真希は驚き思わず後退る 「どうしたんだろう?」  彩は俯いたまま立ち上がり 、ただユラユラ揺れていた  その様子を真希は恐る恐る見た 「何か感じて起きたのかな」 「いや、多分違う。様子がおかしい」  立ち上がって数分、彩はフラつきながら歩き出した  机へと向かった彼女はゆっくりと引き出しを開ける 「はっ?」  引き出しから何かを手に取り後ろへと放り投げた  そして次から次へと物を取っては後ろに投げる 「何してるんだ?」  引き出しが全部開いたままで、文房具や教科書が全て床に散らばっていった  そして今度は衣類タンスへとフラフラ向かい始める  ここでもやはり引き出しを開け同じ行為を繰り返す  カメラの近くだったことで物音がより大きくなる 「なんか、呟いてる?」 「そうっぽいな」  チガウ……  コレモチガウ……  よく聞き取れなかったが、そう言っているようだった 「何か探してるようだな」 「だったら、何を探してるんだろう」 「さぁ。それにしてもこれは酷いな」  更に部屋が散らかっていく  コレジャナイ……  コレデモナイ……  チガウ……チガウ……  呟きながら物を投げる彼女は止まることはなかった  そして0時30分、ようやく止まった 「止まった……?」  彩は周りを見渡す  ドサッ……  カメラを見た後、その場に倒れた  2人は画面を見たまま、黙り込んだ (なんだったろう……今の……。何が起きた……?) 「酷い……」  真希は小さく呟いた (部屋が散らかってたのはこう言う事だったんだ……) 「話を聞いててもしかしてと思ったが、これで確信に近づいた」 「確信?」 「あぁ、おそらく彩のストーカーと言うのは存在しない。彩の身に何か起こってそれがストーカーの様になっている」 「つまり、問題は彩自身にあるってことか……」 (会った時は何ともなさそうだったんだけどなぁ) 「そうなるな……」 「マジかぁ。いろいろ方法を変えていかないといけないね」 (どうしよう……)  そう思っているとピロリンと真希のスマホがなった 「なんだろう」  ロックを解除しメールを開く
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