1.人形と探偵とコスプレイヤー

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 2つのボールに注意しつつ、外野の彩へと視線を向ける  転がって来たボールを取り、他へとパスを出していた (今の所は何とも無さそう)  パスを受けた人は、ボールを当てることに成功  彩とハイタッチをする  真希はその様子を見て少し安心する 「立花さん!」  後ろからの呼び声に、ハッと我に返る 「えっ?」  振り替えるとボールが目の前に迫っていた  避ける間もなく、そのまま顔面に当たってしまう  飛び交う悲鳴  ボールの間から見えたのは、審判をしていた先生の焦ったような顔  ドンッ!  勢いに負け後ろへと倒れてしまう  ピー とホイッスルがなる 「イタタ……」  なかなか起き上がれずにいた真希の周りを、近くにいた生徒たちが囲む  上半身を起こしてもらった所で先生も駆けつける 「大丈夫? 怪我してない?」 「はい……。大丈夫……だと思います」 「頭打ってない?」 「はい……」 「取り敢えず大丈夫そうね。でも念のため休みましょう。立てる?」 「はい。ありがとうございます」  先生の手を借り、真希は立ち上がる  そして、そのまま隅へと移動した (ちょっと、クラクラする……)  壁に寄りかかってると、梨沙が駆け寄って来る 「真希、ごめん。大丈夫?」 「大丈夫だよ。私の不注意だから気にしないで」 (ボール投げたの梨沙だったんだ)  梨沙はホッと息を吐く 「良かった……何ともなくて。本当にごめんね」 「ううん。私も心配かけてごめんね」 「それじゃ、少し休んで落ち着いたら入ってね」 「はい。ありがとうございます」  そう言うと先生は持ち場に戻って行った 「んじゃ、私も」 「うん。行ってらっしゃい」  梨沙が走って戻ると試合が再開された (しくじったなぁ……)  そう思いつつ隅から彩の様子を伺う  これといった変化はなかった  そしてしばらく休み目眩も落ち着いた (行くか……)  立ち上がり中央へと歩く。先生に一言話すと外野に入る許可がおりた  そして真希は彩の隣へと移動する 「真希、もう大丈夫なの?」 「うん。落ち着いたから大丈夫だよ。彩も心配かけてごめんね」 (心配してくれたんだね……) 「怪我もして無さそうだし良かった」 「うん。んじゃ、残りも頑張ろ」  ドッジボールは3回戦まで行い、何事もなく終了  片付けが終えたところで終了のチャイムが鳴った
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