1.人形と探偵とコスプレイヤー

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「ふーん……」  空を眺める真希はどこか悲しげの表情をしている (そっか……。前の真希は窓越しでしか外を見れなかったんだろうな) 「よっと」  真希の膝の上に座り、一緒に空を眺める  その行動に真希は少し驚く 「どうしたの? いきなり」 「いや、なんとなく。良い景色だな……」 「でしょ?」 「真希がここに来たくなるの少し分かる」 「ふふ……。そう?」  弁当を食べ終え鞄へと仕舞う  そして、持っていた櫛で琥珀の髪を整える (やらなくても良いのに)  そう思いながら真希の膝で大人しくしている 「そういえば、教室に戻って来るの遅かったな」 「うん。ちょっと保健室に行ってた」 (保健室って、怪我とか具合悪い時行く場所か) 「何かあったのか」 「ドッジボールのボールが顔面に当たった」 「へ?」 「何ともないんだけど、先生が念のため行きなさいって」 「鼻の周りが、少し赤いのはそういうことか。君、ドジだな」 「うるさい。ドジなのは自覚済み」 「はいはい。それで彩は? 体育一緒だったんだろ?」 「彩? まぁ、いつもと変わらなかったよ。他の授業では分からないけど」 「そうか。なら……」  琥珀は何か考え込む様な表情で、少し俯く  真希はそれを不思議そうに見つめる 「どうしたの?」 「なぁ、放課後暇か? 暇なら俺に付き合って欲しいんだが」 「はぁ?」  真希は首を傾げた 「気になることがある」 「何よ気になることって」 「何か……匂う」 「匂う?」 真希は首を傾げる (特に何も感じなかったけど) 「匂いって、どんな?」 「う〜ん。よく分からないがどこか刺激的な感じ」 「今も?」 「今は、匂いしないな」 (う〜ん……なんだろう……) 「分かった。だだし部活が始まるでね」 「本当か? ありがとう」 「絶対、バレないようにしてよ。この前、それで没収されて説教されたんだから」 「任せろ。今回は上手くやる」 「さて、予鈴が鳴る前に戻らなきゃ」 琥珀を立たせ、服を整える 「戻るの早くないか」 「だって少し遠いから、予鈴が鳴ってからじゃ間に合わないもん。さぁ、午後も大人しくしててよ」 「はーい。承知」  琥珀を鞄に仕舞う (さて、午後の授業も気楽に行こうか)  真希は立ち上がり背伸びをすると、屋上を出て階段を降りて行った
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