1.人形と探偵とコスプレイヤー

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 渡り廊下を歩いていると、2つの足音が近づいて来る 「あっ、真希! やっと見つけた」 「えっ」  梨沙と未菜だった  2人はこちらに駆け寄って来た 「もう。どこ行っても居なかったから、焦ったよ」 「そうそう。みんなに聞いても分からないって言われたし」  2人は真希を探し回っていたようだ 「ご、ごめんね。2人とも、どうしたの?」 「えっとね。購買で買ったんだけど、あげる」  そう言うと梨沙から菓子を渡される 「チョコレート?」 「うん。ドッジボールで顔面に当てちゃったからさ。そのお詫びの品」 (そんな、気にしなくて良いのに) 「あ、ありがとう」 「いえいえ。本当にごめんね」 「ううん。こっちこそ、気を使わせてごめんね」 「真希ちゃん。本当に大丈夫?」 「うん。あの後、ちゃんと保健室で診てもらったし、大丈夫だよ」 (今、痛みも目眩もないし) 「そっか。なら良かった」 「元気そうだし、安心したよ」  2人は安堵の表情を見せる 「真希ちゃん、これから教室に戻るとこ? じゃあ、一緒に戻ろう」 「うん。いいよ」  予鈴のチャイムが鳴る  受け取ったチョコを鞄のポケットに仕舞い、2人と教室へ向かう  気遣いなのか、歩幅も真希に合わせている (2人とも、優しすぎるよ)  少し雑談をしながら2階まで上り、教室の前で2人と別れた (ふう、ちゃんと間に合った)  席に座ると、理科の教科書を出す (移動じゃなくて良かったなぁ)  チャイムが鳴り、しばらくして先生が教室に入って来た  理科の授業が終わると、音楽室へ向かう (匂い、するかな……)  午後の授業も、琥珀の言った事が気になり  集中力が続かず、授業は終了する  HRが終わると、教室の掃除に取りかかる 「じゃあ、恒例のあれやろう!」  一通り掃除が終わるとゴミ出しじゃんけんが始まる  真希は見事に負けてしまう 「じゃあ。立花さん、よろしくね」 「はい。行って来るね」  掃除が終了し班は解散となる  2つのゴミ袋を持ち1階まで階段を降りていく  外の集積所に持って行くと、一休みしながら再び階段を登って行く  教室がある2階につく頃には息が切れる 「ふう……着いた……」  教室には誰もいないことを確認すると、鞄を開ける
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