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事務所から家への道は少し距離があった
花の園を出て、月島学園の方向へと歩いて行く
学園に着くとまた更に歩き坂道を下る
そして十字路に出て右に曲がる
「こうやって見ると、結構距離あるね」
「うん。事務所は学園からの帰宅路と反対側だからね」
「日当たりも良いし、夏の日中は暑いでしょ」
「暑いよ。今はまだ涼しくて日差しも弱いから楽だけどね」
少し狭い路地に入って行く
その時、彩は足を止めた
「彩?」
振り替えると、彩はどこか怯えている様子だった
「どうしたの?」
「聞こえる……足音……」
「えっ?」
彩の後ろの方向を見る
誰も居なく更に隠れるような場所もない
「き、気のせいかも……しれないけど……」
「……」
(これは、少し厄介かも……)
「……真希?」
「彩、少し遠回り出来る?」
小さい声で訪ねる
うん。と彩は小さく頷き答えた
「じゃあ、そうしよう。なるべく普通に。自然にね」
「分かった」
「あと、できれば人通りが多い所が良いんだけど……」
「あ、それなら」
彩はある方向を指差す
大通りに出て、寄り道をしながらしばらく歩く
真希は、時々後ろを振り返り確認をしていた
(怪しい人物は、今のところ居ないか)
そして、大通りを抜けマンションに着く
ここまで10分掛けての到着
「ここの5階に私の部屋があるんだ」
「立派なマンションだね。結構新しいんじゃない?」
「3年くらい前に出来たからそうかも」
2人はマンションの中に入り5階に上がる
エレベーターを降りて右に向かった先に彼女の部屋があった
503号室
(オートロック式で、施錠もしてるんだっけ)
「私の両親仕事でね。まだ帰って来てないと思う」
鍵を開けて扉を開ける
「どうぞ、入って」
「じゃあ、お邪魔します」
中に入り彩の部屋に来たところで、真希はケースから琥珀を出す
「ふう、ようやく出れた。ケースの中は窮屈だな」
「人形のあんたを傷つけるわけにはいかないでしょ。何かあったら、風花に顔向けできなくなるし我慢して」
「大丈夫だよ。俺は」
真希の膝によじ登りちょこんと座る
「それで、これなんだけど」
そう話している間に、彩は数の紙を持ってくる
(ざっと、10枚くらいはあるかな。こんなに送られてくるなんて恐怖でしかないよ)
「最近、送られて来たのはいつだ?」
「えっと、確か一昨日……だったかな」
「一昨日……かぁ……」
事務所で見せたのがそうらしい
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