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1枚ずつ手に取り確認していく
だが、どれも文字とは言えないものが書かれていた
「やはり読めない。琥珀は読める?」
「いや、俺もさっぱり」
「そうだよね」
紙と睨めっこする琥珀
「どれも形が違うな。何か違うのを示しているのか」
「本当だ。なんだろう」
それぞれ違ったくねくねの太い形
真希はそれを並べてカメラに収める
「取り敢えず写真は撮ったし。持っていたくないと思うから捨てて良いよ。また、こう言うの来たら見せて」
「うん。分かった」
「あと他に変わったこととかない?」
「う~ん」
彩は周りを見渡す
「そう言えば、たまにテーブルの位置とか微妙に変わっているような気がする」
「テーブル?」
「うん。朝起きると少しずれてるだよね」
(朝……)
「それが起きるのは、朝だけか?」
「うん。私が覚えてる限りは。気のせいかもしれないけど」
ベッドとテーブルを交互に見る
どう見ても寝返りでぶつかるような距離ではなかった
「物がなくなったりとかは?」
「今のところ無い……と思う……」
「そう……」
もう一度、部屋を見渡す
「家の中、全部見てもいい?」
「うん。今誰も居ないし、いいよ」
「ありがとう」
「じゃあ、案内するね」
彩の部屋を出て、家の中をすべて見てまわる
居間 キッチン トイレ 風呂 玄関 ベランダ
そして両親の寝室まで
どこも整理整頓されていて異常は感じなかった
手紙が送られてくるとの事だが、誰かが侵入している痕跡は確認出来なかった
(話を聞くと、侵入してるのは確かなんだけど…。どこか見落としてる?)
再び彩の部屋へ戻った
「取り敢えず何も無し……だね……」
「うん」
「まぁ、何も無い方が良いんじゃないか」
「そうだね。それに越したことは無いよ」
もう一度、異常が無いか部屋の中を確認する
「真希、そろそろ」
琥珀は時計を指差す
そうこうしているうちに、時刻は夕方の6時をさす
「げっ、もうこんな時間!? 戻らないと人形館の閉館時間に間に合わない!」
「人形館って、宝華人形館?」
「うん。琥珀、そこの人形だから戻さないといけなくて」
「あら、それは大変」
「俺は別に泊まりでもいいぞ」
「駄目よ。今日は閉館までという風花との約束なんでしょ?」
「そうだけど」
琥珀は、彩の方を向く
「わ、私?」
「大丈夫なのか? 1人で」
「私は、大丈夫よ。もう少しでお父さんとお母さんが帰って来ると思うし」
「そうか」
「うん。ほら、それより琥珀くんは戻らないと風花さんって人が心配するよ?」
「君がそう言うなら……分かった」
「ごめんね彩。そうだ、これ。」
真希は彩に、紙と小型の機械を渡す
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