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彩はそれをじっと見つめる
「えっと、カメラ?」
「うん。部屋の様子を確認したいから、寝てる間でもいいから撮ってほしいんだ。嫌なら無理しなくてもいいんだけど。あと、それは私の連絡先。何かあったら連絡して。すぐ駆け付けるから」
「分かった。寝る間とか、学校で居ない間でもいいんだよね?」
「うん、大丈夫だよ。じゃあ、明日それを確認させてね。琥珀、行くよ」
「分かったよ。彩、また明日」
「うん、また明日。真希、琥珀くん」
彩は手を振り見送る
(大丈夫……かなぁ……。依頼を受けてくれて嬉しい。けど……同い年だし、ちょっと不安……)
彩がそう思っているとは知らずに、真希と琥珀はマンションを後にした
そこからは、人形館のまで猛ダッシュ
何とか閉館時間に間に合い琥珀を返した
そこから自宅に戻り、時刻は7時になっていた
自室の机に着くとある物を取り出す
「さて……」
小型のボイスレコーダー
真希はカメラの他にも用意していた
(彩は足音が聞こえるって言ってた。念のため録音してたんだけど……)
イヤホンを着け確認する
しばらく流れて来るのは、真希と彩との会話
「……」
どんな音も聞き逃さないように集中する
「……」
その音が聞こえたのはしばらく経ってからだった
路地に入った辺りだろうか
コツ……コツ……
コツ……コツ……
「聞こえた……」
足音が徐々に聞こえ始める
(あの時は、誰もいなかったはず……)
コツ……コツ……
コツ……コツ……
(この足音は……ヒール……?)
『どうしたの?』
『聞こえる……足音……』
レコーダーから流れてくる、真希と彩の音声
『き、気のせいかも……しれないけど……』
(気のせいじゃないよ)
今、足音が止まっいるのは、あの時立ち止まっていたからだろう
『遠回り出来る?』
その一言で2人は遠回りをし始める
響く2人の足音
コツ……コツ……
そして、再び別の足音も鳴り響く
「付いて……来てる」
コツ……コツ……
しばらく足音が続き
マンションに着いた頃、その音はピタリと止んだ
レコーダーの録音は、彩の部屋に入ったところで止まっていた
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