その1、スリーマウンテン

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その1、スリーマウンテン

 学ラン。それは男子学生が古くから着る永遠のアイテム。  公立中学では学ランを採用され、高校ではブレザーを着ることが一般的である。  必然的に学ランとは中学生が着るものと捉える人も多い。だが、高校生になっても学ランを着る高校も存在する。そんな学ランを着こなす男子学生三人が今回の主役である。  新学期を迎え、数週間が経過した頃だった。  朝の通学路で三人の男子高校生が駅のホームにいるところから始まる。  左から順に山坂健(やまさかたける)。AB型。あだ名は『スケール』  ボサボサ頭が特徴で寝癖なのかセットなのか怪しい髪型だが、本人曰くセットしているらしい。不真面目でも真面目でもなく普通。何をとっても勉強も運動も並で平均的だ。  健の趣味は測定。見るものに対して長さを測ることが生きがいのようだ。  机や黒板など身近なものから天井のブロックのサイズまで気になったら測らずにいられないちょっと変わり者だ。  腰には物を測る為の5.5mスケールがいつも付けられている。すぐに測れるように常に持ち歩いている一つのファッションのようなもの。それが彼のスタイルと言える。  続いて中央にいるのは山添学哉(やまぞえがくや)。あだ名は『雑学』  黒丸渕のメガネが特徴で髪はストレートヘアーである。常に髪型が気になるらしく男なのにヘアーアイロンとクシは常備持ち歩く程、徹底している。几帳面で綺麗好きな典型的なA型だ。何事にも神経質で曲がった事がとにかく嫌いらしい。口癖は「やれやれ」だ。何かと口うるさく相手の発言を正そうとするところがあり、少々面倒臭いのがたまに傷だ。  いかにも真面目そうに見えるが勉強は並。運動は中の下。ただ、クイズが好きらしく勉強に役立たない知識が豊富なことから雑学と呼ばれているちょっと残念なメガネ君だ。  休日はゲームセンターのオンラインクイズゲームに没頭しており、優勝するまで帰らないほどだ。それほど雑学はクイズに命をかけている。  最後に右側にいるのは山越雄大(やまごえゆうだい)。あだ名は『ジャンボ』  O型。大柄でガッチリした体型が特徴だ。運動部が見たら勧誘したくなる見た目をしている。だが、見た目の割には抽象的で諦め癖があるのが短所と言える。  何事にもリスクから避けるタイプだ。ジャンケンをする前に負けを認めるような感じで勝負は好まない。勉強は並で運動はかなり出来る。  身長百八十九センチ。体重百五キロと何もかも大きい。その見た目の大きさからジャンボと呼ばれている。運動部に属していない理由としては彼の性格から勝ち負けに拘りたくないということから来ている。  そんなジャンボの趣味は食べ歩きだ。とにかく食べることが好きでお菓子などの食べ物は常に持ち歩いている。この世の旨いものを食べ切ることが彼の夢でもあった。  朝だと言うのに家から持ってきたおにぎりを三個。コンビニで買った肉まん、あんまん、ピザまんを一つずつ全て平らげていた。更には昼の弁当には生姜焼きがびっしりと敷き詰められた母親特製のスタミナ弁当が待ち受けているのでその食欲は周囲を驚かすものである。育ち盛りというより育ち過ぎだ。
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