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序章 両目を奪われた少女
とある街で宮根琴美という当時小学五年生の少女は行方不明になり、一週間後に警察が公開捜査に踏み切った。メディアで大きく報道され、実名と顔写真も公開された。事件なのか、事故なのか判断が出来ない中、警察は頭を悩ませていた。
行方不明になった当日、宮根琴美は学校の下校中に消息が分からなくなってしまった。通学路の近くにあるコンビニエンスストアの防犯カメラには宮根琴美と思われる人物が下校している姿が映し出されている。その映像の後に何らかの事件に巻き込まれたのではないかと疑われた。下校当時は一人のみ。周辺の聞き込み調査を行なったが、目撃情報は得られなかった。
ただ、不可解なことは防犯カメラに映っていた場所は少女の家とは別の方向だったことが疑問点である。あの方向に何があったのか、少女は誰かと待ち合わせをしていたのか全てが謎に包まれていた。捜査は続けられたが、手掛かりという手掛かりが掴めぬまま事件は難航していた。自衛隊も加わり三百人以上の捜索に踏み切るが、依然と手掛かりは得られない。草の根を掻き分けてでも見つけよう最善を尽くすが、時間だけが過ぎるだけである。
宮根琴美が行方不明になってから二週間後のことであった。その日、事件は大きく進展した。午前四時過ぎの明け方、少女は市内の公園のベンチで気持ちよさそうにうたた寝しているところを近所の人に発見された。駆けつけた警察に無事に保護され、命に別状はなかったがプライバシーを考慮して詳細は伏せられ、大きな記事にならずに済んだ。だが、一部の地方紙ではこのように書かれていた。
『行方不明の女の子は両目をくり抜かれた状態で発見された』という目を疑いたくなる文面が記載されていた。
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