Bパート 前

1/8
前へ
/193ページ
次へ

Bパート 前

 薫は、朝、学校に登校した。下駄箱の先にある生徒向けの掲示板に生徒らが多く群がっていた。首に巻いていたマフラーを外しながら、目をやる薫。そこには生徒会からのお知らせが一枚張ってあった。群がる生徒たちの後ろにいる薫の位置からでは、何が書いてあるかわからなかった。 「花咲君?」  薫は声をかけられて後ろを振り向くと、マフラーを首に巻いたショートカットの女子生徒が立っていた。 「揚羽さん!」 「おはよう!」 「急に寒くなったね。コートを着るほどじゃないけど」 「そうね。私もマフラーしてきました。慣れないショートは辛いね。少し前までは暖かったのに……」 「そうだね。でも、少し伸びた?」 「そうかな? 襟足だけは少し長めに揃えてもらって正解だったかな」 「似合ってるよ。短い髪型もさ。……で、あの生徒会からのお知らせって、もしかして……」 「えぇ。昨日の生徒会会議で決まったの。生徒会が蜘蛛手先輩の失踪事件を捜査することになった。あの掲示は、蜘蛛手先輩の行方に関する情報を生徒から集めるための告知」 「じゃぁ、学校側は蜘蛛手先輩が自らの意志で学校に来なくなったと決めたんだ」
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加