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 ホワイト・カンバスはセリカ内で自分の声データを配布していた。多くのクリエイターがボーカロイド・ホワイト・カンバスを生み出し、盛り上がっていた。  その声からして、高校生から大学生の女の子ではないかと推測されているが実態は知られていない。セリカへのログインが夕方から夜十時くらいの間が多く高校生だと断定するユーザーもいるくらいだ。  そんな噂話と相まって、ホワイト・カンバスはネットアイドルとなっていった。  しかし、二ヶ月前、iマギが登場してセリカはiマギにサービスを移行。それから一ヶ月ほどしてホワイト・カンバスは交流してこなくなったのだ。チャットやコメントの返信がぱったりと止まってしまっていた。 「長時間の移動で疲れているとは思いますが、早速本題に入りたいと思います」 「お願いします」  薫は軽く頭を下げた。 「今送った資料を見て、何となく気づいていると思いますが、あなたも知るホワイト・カンバスさんはとある場所に隔離されています」 「はぁ……」 「そのとある場所から彼女を救出してもらいたい。引き受けてもらえるかな」
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