Bパート 中

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 薫は三度の体表滅菌工程を通過し、病院などで使われている薄い生地の検査着を着せられた。  DDDとプレートに書かれた部屋に通された。その部屋はガラス一枚隔てられ、そのガラスには心電図のような波形や何を示しているのかわからない数々の数値やモニターグラフが表示されている。そして、ガラス向こうにベッド大のカプセルが置いてあった。  白いキャップとマスクをした女性係員がガラス扉を開け、薫をカプセルのある部屋に入るように促した。  中に入るとカプセルは四台あり、そのうち一台のみが完全に閉まっていた。他三台は、ワニが口を開けているようにカプセルが開いていた。  カプセルは中の様子が見えるように透明になっていた。ガラス扉の近くあった使用されているカプセルには、まだ大人になりきれていない幼さをまだ持ち得ていた女の子が横たわっていた。頭や腕に数々のケーブルがつながれていた。  もしかして、この子がホワイト・カンバスなのか。顔立ちからして噂されていた高校生や大学生ではなく、可愛らしい中学生くらいに見える。  セリカでは大人っぽい会話やコメントを残していたから想像できなかった。
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