Bパート 中

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 ホワイト・カンバスの隣のカプセルに横になると、係員が手際良くケーブル極をテープで張りつけていく。  たかがケーブルでつながれただけで、彼女が隔離されている世界に行けるとは思える気がしない。  隣で意識なく横たわる彼女は、ただの抜け殻。雨宮はそう言っていた。  係員は薫の作業を終え、カプセル脇にあるスイッチを押した。ワニのように口を開けていたカプセルはゆっくりとしまっていく。係員はガラス扉を出て、向こう側からガラスに映し出された数値などを確認し、操作を行っている。 『花咲さん。気分はいかがですか?』  雨宮の声が薫の頭の中、思考に直接入って聞こえてきた。 「そうですね。少し緊張してます」 『怖がらず安心していて下さい。確認ですが、花咲さんは向こう側で彼女の心に触れ、なんとか心境に変化を与えて下さい。絶零波(ぜつれいは)が弱くなればサルベージできるので』 「わかってます!」 『では、DDDへの接続を開始します。……初期コンタクト完了。第一フェーズに移行。生命データを取得。脳波取得を確認。絶対思考を転送開始』
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