Bパート 中

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 ここから薫は雨宮の声を聞き取れなくなった。感覚としては眠くなった感じで、頭につけられたコードの中に引っ張られて行きそうだ。一瞬、会議室でのやり取りが頭の中をよぎった。 「やります。俺がやります」  薫は顔を上げ、雨宮に強く言った。 「そう言ってもらえて、こちらとしても助かります。ありがとうございます」  雨宮は微笑み、軽く頭を下げた。そして、続ける。 「現在ホワイト・カンバスさんが隔離されている所というのが、このLベース内ではあるのですが、DDDと呼ばれるシステムの中です」  薫の思考に先ほど送られてきた資料ページが先に進んだ。図解資料として立方体のマシン絵が描かれて、DDDと名前が添えられていた。そして、  DDD:Described Destiny Device  直訳:運命描写装置  人体、ヒト意思を完全にデータ化し、データとして生きることができる。  と、説明が書かれていた。 「システムの中? このDDDって……」  薫は資料を読んでも理解できないでいる。
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